【精神科の治療】電気けいれん療法を受ける患者さんへの看護

スポンサードサーチ

電気けいれん療法とは、頭に電極を貼り付けて通電をして、
人為的にけいれん発作を誘発される治療法です。
詳しくは、こちらに記載していますので参考にしてください。

電気けいれん療法の施術を行うのは医師ですが、
看護師は何をしたら良いのでしょう?
私の経験からお話しますね(^^)

オリエンテーション ~トイレの水は飲まないで~

患者さんに治療の流れや注意すること、治療後の様子などを説明します。

電気けいれん療法を受ける患者さんは、重症の方が多いので、理解力や判断力が乏しいことも多いです。
また、治療に同意していない人(家族が同意している)や、病識自体がない人もおられます。

そんな患者さんに、治療の説明や術前の注意事項を理解してもらうことはなかなか難しいことなんですが、
患者さんに必ず守っていただかないといけないことがあります。

前日夜からの絶飲食です。
嘔吐による窒息や誤嚥性肺炎の予防のために行うのですが、もし飲食してしまったら治療自体が行えなくなってしまいます。

理解力が乏しい患者さんは、コップを預かったり、部屋の水道を止めたりして対応します。
外に出て水を飲もうとする患者さんには個室にうつってもらい、その時だけ隔離が必要になることもあります。

隔離していても、絶対大丈夫とは言えません。トイレの水を飲んでしまう患者さんもおられます。
場合に応じて、トイレも施錠して、一時的にポータブルトイレを設置するなどの対応も考えないといけませんね。

普段しっかりされていて大丈夫と思える患者さんでも、
電気けいれん療法の治療中は、副作用で健忘(一時的な記憶喪失)やせん妄(一時的な意識障害)になることも少なくありません。
そのため、自分はなぜ治療をしているのか自体忘れてしまう人もいますし、
注意事項なんて全く「何のこと?」状態です。

中には、治療を受けたくないからわざと飲水をしてしまう人もおられるので要注意です。

このように、治療の説明をすることと合わせて、患者さんそれぞれに応じた
対策を考えながら準備を勧めていくことが看護師には必要になってきます。

前日の準備 ~体を清潔に~

電気けいれん療法では、頭部に電極を貼り付けて通電を行います。
そのため、頭が皮脂で汚れていると、電極がしっかりと貼り付かないことがあります。

そうならないためにも、前日に必ず洗髪を行います。
入浴や清拭で全身を清潔にするのが一番望ましいのですが、
拒否が強い人などは難しいこともあるので、最低でも洗髪だけは行っておきたいところですね。

また、排便の確認を行って、なければ浣腸を行ったり、
男性であれば髭を剃り、女性では化粧やマニキュアは落としてもらいます。

基本的な手術の準備と一緒ですね。
手術に関する同意書や書類なんかも準備をしておきます。

夜勤では、絶飲食の指示を守れるように、再三の説明と確認を行って翌日の治療へ備えます。

当日の準備 ~連携プレーが鍵~

日にもよりますが、当日治療を受ける患者さんは多い時には10人ほどおられます。
そして治療は一人20分ほどなので、病棟と治療室の行ったり来たりでバタバタと結構忙しいことも多いです。

もちろん分担はしますが、スタッフ同士の連携が上手くできていないとスムーズに進まないこともあるので、
スタッフ同士の意思疎通と協力が大切になってきます。
滞りなく治療がすすめられるように調整することも、看護師の大切な役割ですね。

当日の朝には、術衣に着替えてもらい、点滴の確保をしておきます。
寝たきりなどで当日に着替える余裕のない人は、前日に着替えておいた方が良いですね。

そして術前に必ずバイタルの確認をして、もし異常があればすぐに医師に報告するようにしましょう。
異常がないことを確認し、順に患者さんを準備室へと誘導します。

準備室では、頭部に電極を貼り付けたり、モニターの準備などをして順番を待ちます。
不安や拒否の強い人もおられますので、安心してもらえるような声掛けができたら良いですね。

この時に、治療が終わったあと帰室できるように、術後ベッドの準備をしておきます。
酸素や吸引器の準備やベッド周囲の整頓、ベッド位置の調整などしておくと良いですね。

治療室の中で行うこと ~私、OPEナースだったっけ?~

順番がきたら、治療室へと進みます。

治療室に入ると、酸素を投与して全身麻酔をかけ、治療が始まります。
医師がそれらの処置をしている間、看護師は記録を行います。

何の薬剤をどれだけ使用したか、電圧は何Vで何秒けいれん発作が起こったのか、など随時記録していました。

また、使用する薬剤を準備したり、必要な物品を渡すなど、簡単な介助も行います。
特に清潔操作は必要ないですよ。
なんちゃってOPEナースの気分を味わえて結構楽しかったりします♪笑

治療直後の観察 ~暴れる人には要注意~

治療が終わり、自発呼吸が再開すると治療室を出ます。
自室に戻る前に、処置室でモニターを装着し、バイタルや呼吸状態の確認などを行っていました。

スポンサードサーチ

治療後は、人によっては錯乱状態となって、朦朧としながら起き上がったり暴れようとする患者さんもおられます。

そのため、必要に応じて鎮静剤を使用することもあります。
鎮静剤を使用すると、呼吸抑制がみられることもあるので、より呼吸状態には注意しなければいけませんね。

しばらく様子を見て問題なければ、自室へ戻ります。
帰室後もしばらくは意識は戻っていませんので、
酸素を投与して手術後と同じようにバイタルのチェックを行います。

意識が朦朧として動いてしまう人も多いので、頻繁に観察を行うと安心ですね

1時間もすれば、大抵の人は意識がしっかり戻ってきますので、
問題なければモニターをはずして、点滴も抜去します。
飲水確認を行い、ムセがなければ飲食も再開してもらいますし、自由に動いてもらって大丈夫です。

これで1回の治療が終わります。
これを週に2~3回、計5~15回ほど繰り返して治療を進めていくことになります。

5回程行ったくらいから、治療の効果を感じ始める人もおられます。
自覚は全くなかったとしても、他覚的に見ると確実に良くなっていることもあるので、
良くなっている点は積極的に患者さんに伝えてあげるようにしましょう。
人から言われることで自覚が出て来る場合もありますから(^^)

副作用とその対応 ~一過性のものだから安心して~

・頭痛、筋肉痛
治療直後から頭痛や筋肉痛を訴える人は多いですが、ほとんどは当日から翌日には消失します。
鎮痛剤で対応できるので、訴えがあれば勧めてあげましょう。

・嘔気、嘔吐
これも短期的な副作用です。
ベッド周囲に必ずガーグルベイスンと吸引器を用意しておきましょう。
制吐剤も使用できますので、医師に指示を確認しましょう。

・健忘
一時的に記憶を喪失することがあります。
記憶をなくすことに恐怖感を感じる人もおられますが、一過性のもので
数日から数週間で回復しますので、そのことを説明して安心感を与えてあげましょう。
不安が強い人には、日記をつけることを促したり、
忘れたくないことは紙に書いて目のつくところに置いておくなどの工夫も良いですね。

・せん妄
一時的な意識障害で頭が混乱した状態になることです。高齢者の方に多くみられます。

幻覚が見えたり、興奮して大声を出したり、物事を正常に判断できない状態になります。
わかりやすく言うと、認知症のような症状が現れますが、
認知症と違う点は、症状は可逆的で元の状態に戻るということです。

本人の行動や発言は端から見ると意味不明なことばかりです。
しかし、それを否定してしまうとより不安感が強まってしまうので、否定せずに、
安心感を与えられるような対応ができたら良いですね。

また、せん妄状態になると、周りへの注意が欠如し、正常な判断もできないため、
転倒したり怪我をするリスクが高くなります。
そのため、危険な物を部屋に置かないように環境調整を行いましょう。
知らないうちに体がアザだらけ、なんてこともあります^^;
夜だけせん妄になることもあるので、特に夜には注意した方が良いですね。

点滴をしている場合には、自己抜去を防ぐ必要があります。
ルートが視界に入らないような工夫や、時間帯を考慮することも一つの方法ですね。

セルフケアが自分で行えなくなることもあるので、必要に応じて介助や見守りを行います。
飲水や食事が摂れているかの確認や、体調の管理にも目を配ってくださいね。

早くせん妄状態を解除するためには、1日のリズムをつけることが大切です。
昼間はカーテンを開けて光を取り込み、活動を促してしっかり覚醒してもらいましょう。
そして、夜は暗くして静かに眠れるような環境を提供します。

慣れない環境がストレスになる場合もあります。
家族の方にできるだけ面会に来て話しかけてもらったり、
家族の写真や本人が慣れ親しんだ物(安全な物で)を持ってきてもらうようお願いすることもあります。

症状が強くてどうしても目が離せないような状況であれば、
一時的に離床センサーを使ったり拘束をする場合もあります。
事前にそのことを本人や家族に説明して、同意を得ておくことも必要ですね。

せん妄の症状の現れ方は人それぞれですが、必ず症状は治まります。
そのことをしっかりと説明して、本人にも家族にも安心感を与えてあげてください(^^)

・躁転
双極性障害(躁うつ病)のうつ状態の時に治療を行うと、稀に躁状態に転じてしまうことがあります。
治療は、状況に応じてそのまま継続したり一旦中止になることもあります。
治療をどうするかは医師が判断しますが、看護師は躁転していないかの観察をしておく必要がありますね。

 

以上、電気けいれん療法を行う患者さんへの看護をまとめてみました。

精神科のイメージと少し違ったかもしれませんが、電気けいれん療法は治療効果が高いので、
日に日に良くなっていく姿が見られるのが楽しみでもあります。

ちょっとした手術のような感覚を味わえるので、精神科に興味はあるけどゆったりしすぎるのは苦手という方に
良いかもしれませんね。

手術と言っても外科ほどの身体侵襲はありませんし、
看護も精神面へのアプローチが多いので、外科とはまた違った看護を楽しめると思います♪

電気けいれん療法はどこの病院でも行っているわけではないので、
興味がある場合は看護師転職サイトに登録して、病院の情報を聞いてみてくださいね☆

精神科ナースのココ

投稿者: 精神科ナースのココ

大学病院の精神科で勤務した後、現在は単科の精神科で日々勉強しています。「精神科で学んだことは、仕事を辞めても一生役に立つよ」というドクターからの励ましを胸に、精神科での看護を楽しんでいます(^^) これまでの職歴や自己紹介はこちらです。   >>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です