保護室とは、精神症状が特に悪い患者さんを隔離するための部屋です。
詳しくはこちらを参考にしてください。
今回は、その保護室で行う看護について、私が注意していることをご紹介します
患者さんの安全の確保
保護室には、精神状態が特に悪い患者さんが入られます。
落ち着いているように見えていても、突発的に何をするかわかりません。
一番大切なことは、患者さんが部屋の中で安全に過ごせるようにすることです。
何もない部屋の中だから何もできないと思うかもしれませんが、
壁や床に頭を打ちつける患者さんもいれば、服で首を絞める患者さん、
トイレットペーパーを口に大量に詰め込んで窒息しようとする患者さんなど、油断はできません。
寝ているように見えても、本当に息をしているかの確認も大切です。
隔離中や拘束中は常時の観察とその記録を残すことが法律でも定められています。
具体的な頻度は提示されていませんが、私の病院では、
最低でも隔離中は30分に1回、拘束中は15分に1回の観察を行うようになっていました。
それほど観察は大事ということですね。
落ち着かない様子がみられれば頓服薬を与薬して経過をみたり、
それでもおさまれなければ医師に報告して追加の薬や対応を検討してもらいます。
一刻を争うような状況であれば、保護室内で拘束を行う場合もあります。
保護室は、精神科でのICUという感じで、患者さんの様態も変化しやすいです。
患者さんの変化を見逃さないように観察を行い、患者さんに安全を提供したいですね。
部屋からの脱走
保護室に入る際には必ずその理由を患者さんに説明しますが、患者さんすべてがきちんと理解できるわけではありません。
「閉じ込められた」と感じる患者さんは少なくありませんし、隙を見つけて脱走を試みようとしている患者さんもおられます。
そのため、ドアを開ける際には、患者さんが飛び出さないように細心の注意を払わなければいけません。
保護室に訪室する時には、必ず2人以上のスタッフで対応します。
患者さんに隙を見せないようにするためと、何かあった場合にすぐに対応できるようにするためです。
ドアを開ける前には小窓から中の様子を伺い、興奮している時やドアの前にへばりついているような時は一旦改めた方が良いでしょう。
無理はせず、状況に応じて臨機応変に対応することが大切ですね。
セルフケアの充足
保護室の中には何にもありません。
そのため、患者さんは自分で何もすることができません。
治療上患者さんの自由を制限しているわけですから、その分できないことは看護師で補わなければいけません。
洗面や歯磨き、お風呂も自由に入れません。
トイレは外からしか流せないようになっているので、確認してトイレを流すことも必要です。
食事のセッティングや飲水の管理も看護師です。
行動がはちゃめちゃで、部屋の中が糞尿だらけなんてことも稀ではありません。
部屋の中の掃除もマメに行いたいですね。
患者さんの状態によっては、部屋に入れるタイミングが限られてしまいますが、スタッフを集めて短時間で濃いケアができるように工夫したいですね。
自分自身を守る
精神科に入院されている患者さんの中で、暴力的で危険な方は、それほど多くはありません。
ほとんどが優しい患者さんです。
それでも、油断は大敵。忘れた頃に何が起こるかわからないというのが精神科でもあります。
保護室に入る際は2人以上のスタッフで、というのは自分たちの身を守るためでもあります。
保護室を開ける時には、普段ポケットに入れているようなペンやメモ帳、名札なんかもすべてナースステーションに置いていきます。
万が一取られたりしたら患者さんも自分たちも危ないですしね。
保護室に限ったことではありませんが、精神科では自分自身を守るという意識を忘れないでくださいね。
保護室に入っている期間は長くない
このように、少し特殊な保護室という部屋ですが、患者さんが入っている期間は長くはありません。
本当に症状が悪い時に、ある程度落ち着くまでの間保護室で過ごしてもらいますが、
状態に応じて保護室から閉鎖病棟、開放病棟へと順に移っていきます。
一般病棟で考えてみると、ICUで重症の時期を過ごして、
落ち着いたら一般病棟に戻ってきて治療しますよね。そんな感じです。
精神科病棟、特に保護室には「怖い」イメージがあるかもしれませんが、
良くなっていく姿が見られるのはやはりどの科であってもとても感動しますよ☆
それに、一度その良くなっていく過程を実際に自分で見ると、
患者さんに対してそこまで「怖い」という印象は抱かないと思います。
治療が進んでいくのが楽しみに思えますよ(^^)
なんとなく雰囲気がわかっていただけたでしょうか。
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