電気けいれん療法【精神科の治療 ~頭から電気を流す~】

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電気けいれん療法とは

電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)とは、頭に電極を貼り付けてそこから通電をして、
人為的にけいれん発作を誘発させる治療法です。

言葉自体、初めて聞いたという人もいるかもしれませんね。

昔は、そのままけいれん発作を誘発させていたため、患者さんに非常に恐怖感と苦痛を与え、リスクも高い治療でした。
懲罰的な意味で行われていたこともあったようです。

「カッコーの巣の上で」という映画の中でもこの治療法が出てきています。
現代の精神科の治療とはかけ離れているので誤解はしてほしくないのですが、
もし興味があれば観てみてください(^^)

現在では、麻酔科医と精神科医の立ち会いのもとで、全身麻酔下で筋弛緩剤を併用して無けいれんで行われるようになっています。
そのため、最近では「修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy:m-ECT)」と呼ばれ、
非常に安全性の高いものになっています。

精神科というと、内服治療やリハビリでゆっくりと治療を行っていく印象が強いと思いますが、
意外にも全身麻酔下で行う治療法もあるんです。

電気けいれん療法の適応

電気けいれん療法が行われる疾患としては、以下の3つです。
・うつ病
・双極性障害(躁うつ病)
・統合失調症

とは言っても、これらの疾患であれば必ずしも電気けいれん療法を行うわけではありません。
適応と考えられる状態は主に3つが考えられます。

1,症状が深刻で、迅速な改善が必要な場合
・希死念慮が切迫しており、自殺の可能性が高い
・拒食による低栄養など、生命の危険が予測される
・昏迷状態

2,他の治療法を行う危険性が高い場合
・薬物療法の副作用が強いため、充分に服用できない
・高齢者や妊婦など、薬物療法が制限される

3,薬物療法の効果が不十分な場合
・薬物治療でなかなか寛解に至らない

これらの場合が挙げられます。
薬物療法と比べると、身体的な副作用が少ないことと、治療効果が早く現れることから、
高齢者や妊婦には第一選択として考えられるようです。

逆に、禁忌の例としては、
・頭蓋内圧亢進
・心筋梗塞や脳出血の急性期
・動脈瘤や脳腫瘍がある場合

などがあるため、治療を行う前には血液検査や心電図、CTなど、
全身状態の検査を必ず行い、治療を受けても問題ないことを確認してから行われます。

治療の流れ

流れを簡単にまとめてみます。

① 患者さん、家族へ説明を行い、同意を得る
② 事前の検査、全身状態のチェック
③ 治療の前日は夜から絶飲食
マニキュアなどされている方は落としてもらいます
④ 当日の朝に術衣に着替えてもらい、点滴をして血管の確保
⑤ 頭部に電極を張り、スタンバイ(不安が強い人や、ECTの効果を上げるためにこの時に麻酔薬を静注することも)
⑥ 治療室に入り、心電図モニターや血圧計、パルスオキシメーターなどを装着
⑦ 酸素を投与し、呼吸を補助しながら麻酔薬と筋弛緩薬を投与
⑧ 筋弛緩薬が効いたことを確認(上半身から下肢へと順にれん縮していくので、足の指がピクピク~としたらサイン)
⑨ 筋肉が完全に弛緩したところで、電気を通電(舌を噛まないようにバイトブロックを装着しておく)
⑩ (筋弛緩薬を投与しているので実際にけいれんは起こりませんが)脳波の変化でけいれんと同じ作用が発生していることを確認
⑪ 通電後、一時的に血圧や心拍数が上昇することもあるので、必要時は降圧薬など使用することも
⑫ 自発呼吸が再開してバイタルが安定していることを確認し、治療は終了。自室へ戻る。(まだ意識は戻っていません)
⑬ 通常の全身麻酔後の観察と同じように、帰室後バイタル測定や肺音の確認など定期的にチェック
⑭ 1時間ほどして意識がはっきりして、バイタルが安定していれば酸素投与終了。モニターや点滴も外します。
飲水チェックを行い、問題がなければ飲水、食事摂取可能。通常通り動くことも可。

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このような一連の流れを、週に2~3回程度の間隔で、5~15回程繰り返します。
回数は、症状に合わせて医師の判断で行われます。
大体5回目くらいから効果を感じられる人もおられます。

頭に通電する時間は5秒程度、その後にけいれんが20~30秒程度です。
自発呼吸が再開するまでしばらく状態を観察してから終了となるので、
治療室に入って全身麻酔を始めてから退室するまでで約10~20分程になります。

電気けいれん療法のメリットとデメリット

電気けいれん療法の特徴として、
・即効性がある
・治療効果が高い
という非常に魅力的なメリットがあります。

その反対に副作用もみられます。

主な副作用は、身体面でのものと精神面でのものに分けられます。
・身体面での副作用
頭痛、筋肉痛、嘔気・嘔吐、血圧上昇、頻脈など

・精神面での副作用
健忘(一時的な記憶喪失)、せん妄(一時的な意識障害)など

しかし、これらは全て一過性のもので、時間が経てば自然に戻るものばかりです。
頭痛や筋肉痛には鎮痛剤などで対処することもできます。

多少の副作用はあるものの、治療効果を考えると非常に良い治療法のように思えますね。

しかし、その効果が長期間持続しないというデメリットがあります。
そのため、電気けいれん療法だけで完全に良くなるわけではなく、
その良くなった状態を薬物治療で維持する形がほとんどだと思います。

電気けいれん療法は、薬物治療を行える段階にまで状態を持っていくため、
と考えてもらっても良いと思います。

副作用が強く出るために薬を飲めない人は、定期的に電気けいれん療法を行うことで状態を維持する人もいます。

また、人によっては、全身麻酔や通電するということに恐怖感や抵抗を感じる人もおられ、
本人や家族が拒否される場合もありますので、治療についての説明をしっかりと行うことも大切ですね(^^)

電気けいれん療法を受ける患者さんへの看護については、こちらを参考にしてください。

 

電気けいれん療法について簡単にまとめてみました。いかがですか?
ちょっと精神科とイメージが違うと思った人もいるかもしれませんね。

でも、精神科治療において大切な治療の一つですし、
治療効果が目に見えてわかりやすいので、看護師としては嬉しいことだと思います。

電気けいれん療法は、全ての精神科病院で行っているわけではないので、
気になる方は事前に調べてみてくださいね。

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精神科ナースのココ

投稿者: 精神科ナースのココ

大学病院の精神科で勤務した後、現在は単科の精神科で日々勉強しています。「精神科で学んだことは、仕事を辞めても一生役に立つよ」というドクターからの励ましを胸に、精神科での看護を楽しんでいます(^^) これまでの職歴や自己紹介はこちらです。   >>

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