精神科に入院している患者さんの特徴

精神科に入院している患者さんてどんな人?

怖い?おとなしい?挙動不審?

患者さんといっても、人によって疾患や症状は千差万別です。
元の性格だって当然違います。

だから、正直一括りになんてできないんです。
できないのですが、私が普段関わっていて感じている、共通しやすいいくつかの特徴を
看護の視点も含めて考えてみようと思います。

患者さんは、私たちと変わらない

まず、最初に念を押して言いたいことがあります。

「精神科の患者さん」というと、とても特殊な人のように思ってはいないですか?

そんなことはありません。
私たちと同じ、一人の人間です。

私たちだって、仕事や人間関係、恋愛、育児や介護などの家庭環境。
色んな事情があってしんどくなる時ありますよね。
イライラして物や人に当ってしまったり、悲しくて涙が止まらなかったり、
時には情緒不安定になってしまうことだってあると思います。

それと一緒ですよ。特別なことではありません。
何かをきっかけに、少し心が疲れてしまって、その休憩をしているだけなんです。
そのことを忘れないでほしいと思います。

精神科の患者さんだからと区別するよりも、
人として誠実に関わることが最も大切であると日々感じています。

病識が乏しい人が多い

精神疾患は、まだまだ正しい理解が得られていないこともあり、
自分の苦しんでいる症状が、疾患のせいであると認識できていない方が多いように思います。

「自分は健康で、病気であるはずがない」と認められない人や、
「何もかも自分が悪いんだ」と自責的に考えてしまう人もいます。

病識が十分でないと、治療の必要性が正しく理解できないために、
入院することやスタッフに拒否を示してしまうこともあります。
患者さんにとって必要な治療が行えなくなってしまうのです。

ある程度症状が良くなって退院できたとしても、
もう大丈夫と思って自己判断で内服を中断してしまい、再発する人も少なくありません。

患者さん、また家族にも疾患に対する正しい知識を持ってもらうことは、
治療を行う上で非常に重要です。

そのためにも、医師や看護師を含めたスタッフはみんな患者さんの味方である、
私たちは苦しんでいる患者さんを助けてあげたいんだ、という気持ちが
患者さんに伝わらなければいけません。

看護師は、このような患者さんとの信頼関係を築くための働きかけは欠かせません。
そして、疾患や治療に対する教育的な関わりを根気強くしていく必要がありますね。

ストレスの対処が苦手

精神科の患者さんは、ストレスの対処が苦手な方が多い印象です。
苦手だからこそ発症しやすいのかもしれませんね。

ストレスの対処が苦手な人は、日常生活で何か嫌なことやストレスがかかった時に
自分自身で対処することができなくて、精神的にしんどくなったり
暴れたり自傷行為などの間違った行動に出てしまうことがあります。

自分は今ストレスを感じているという現状、
そしてその原因を自覚することがまず必要です。
意外に自覚できていない人が多いんですよ。

自覚ができれば、何かしらの対策を考えることができますね。
そのストレスから離れたり、数をこなしてストレスに慣れさせる方法もあります。
自分の考え方や捉え方を変える努力をすることもできます。

また、どうすればストレスの発散ができるのかを知ることも同様に大切です。
例えば、映画を見る、散歩に出かける、音楽を聞く、
人によって対処方法はそれぞれだと思いますが、
自分自身の心が落ち着ける方法を見つけられたら良いですね。

このような取り組み、特に自分の考え方を変えるという働きかけは
「認知行動療法」と言って、専門的な知識や技術が必要になってきますので、
心理士さんが主に関わっていかれると思います。
けれど、看護師もその取り組みを理解して関わり方を考えていかなければいけません。

ストレス反応によって出現する症状もさまざまです。
人によっては寝たきりでセルフケアを行うことができなくなったり、
自傷他害に走ってしまう人もいます。
幻聴や幻覚に襲われる人もいます。

そのような症状に対する看護、また安全を確保できるような援助を行うことが看護師には求められます。

対人関係が苦手

精神科の患者さんは、元々の性格が自分の意見を主張できないようなおとなしい性格の方が少なくありません。
また、これまでの人生で人間関係を上手く築いてこれなかったり、
何かしらのコンプレックスやトラウマを抱えている人もおられます。

そもそも、若くして発症した人は、若い頃から長期間の入院生活を過ごさなければいけなかったり、
家に引きこもってしまったりして、人と関わる体験そのものが少ないという方も多くおられます。

このような患者さんは、
人からの言葉や態度に敏感になっており、人間関係を築くことに臆病になっていたり、
築き方自体がわからないという方が少なくないのです。

看護師が話しかけても反応がほとんどなかったり、
上手くキャッチボールができない患者さん、
威嚇してくるような患者さんや、我儘ばかり言って相手を振り回す患者さん、
様々なタイプの方がおられます。

特に入院当初は、慣れない環境で緊張していたり不安も多く、
普段よりも特に症状が強く出てしまうこともあるかもしれません。

どんな場合であっても、看護師は患者さんが円滑に治療を受けられるように
関係性を築いていく必要があります。

上手くコミュニケーションがとれないからといって諦めるのではなく、
そのような患者さんのサポートを行えるように、関わり方を考えていきたいですね。

長期の入院患者さんが多い

精神科は、他の病棟と比べて入院期間が長いです。
理由は、内服治療の効果が現れるまでに時間がかかることや、
患者や家族が疾患への知識を理解して受け入れることに時間がかかること、
社会のサポートの準備を整えなければいけないこと、などが考えられます。

また、精神疾患の正しい知識が乏しいことや、
精神科を受診をすることに抵抗がある人も多く、
重症化してからやっと受診に至るケースが珍しくありません。
当然、重症化してからの方が治療期間が長引いてしまいます。

ほとんどの患者さんが慢性的な疾患であるので、症状が安定したとしても、
長期的なフォローが必要にもなってくるケースも多いです。

これらのように、様々な要因によって入院が長期化してしまう傾向があるのですが、
長期化すると、患者さんはどうしてもストレスを抱えやすくなってしまいます。

看護師は少しでも患者さんのストレスを緩和させられるように、
時間が空いたら一緒に散歩に出て外の空気を感じてみたり、
季節の催し物を考えてみたり、
普段のコミュニケーションから患者さんのことを考えられるように心がけたいところです。

入院環境では、社会生活と離されてしまうために、対人能力であったり、
生活能力、社会に適応できる能力が低下してしまう恐れもあります。

症状は落ち着いたけど、社会能力が落ちたから退院できなくなった、というのでは
元も子もありません。

社会復帰ができるように、普段から生活技能訓練、精神療法などのリハビリで
社会能力を低下させないような取り組みが大切になってきますね。

 

精神科に入院されている患者さんによくみられる特徴をいくつか挙げてみました。
なんとなくイメージはできましたでしょうか?

とは言っても、全ての患者さんがこれらに当てはまるわけではありません。
人それぞれ、性格も特徴も異なります。
目安程度に考えてくださいね。

最初にも述べましたが、患者さんは一人の人間です。
「精神科の患者さん」と特別視するのではなく、
先入観を持たずに、誠実に関わってもらえたら嬉しいです(^^)

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精神科の患者さんとの関わり方 ~私が意識していること~

私自身、人と接することは正直苦手です。
人見知りなので、特に初対面の人とはおどおどしてしまってほとんど喋れません(笑)

そんな私ですが、患者さんと関わる時にはそれなりに自然に話すことができている気がしています。

精神科の患者さんとどう関わったら良いのかわからない、上手くコミュニケーションがとれないという方もおられるかもしれません。
参考程度にですが、私が精神科の患者さんと関わる時に意識している点をご紹介しますね。

患者さんに興味を持つ

まず、興味を持つことが一番だと思います。
患者さんとして、というよりも、一人の人として興味を持って関わるようにしています。
今までどんな人生を送ってこられたのか、何が好きでどんな趣味があるのか、
どんな仕事をされてきたのか、など。

興味をもつと自然と会話が広がっていきますし、
患者さんと関わる機会も増えます。

話の内容や、その話をする時の表情や態度などから、
患者さんのことを知る手がかりを掴むこともできます。

とは言え、興奮状態の時は、必要以上に関わることは刺激になってしまうし、
抑うつ状態の時には話す気力すらないということもあるので、
症状に応じて関わり方は考えた方が良いですね。

自分自身のこと、自分の感情を素直に伝える

いくら患者さんに興味があるからと言っても、質問攻めにしてしまうと気分は良くないですよね。
そのため、できるだけ自分のことは隠さずに話すようにしています。

自分からはあまり話してくれない患者さんでも、
私自身が自分のことを話していると、自然と患者さんも合わせて話してくれたりします。
その患者さんが話してくれた内容に対して、少し話を膨らませてみたり、
「私はこんな風に感じました」と自分の感情を率直に述べてみたり、
「話してくださってありがとうございます。またお話聞かせてください」
などと伝えると、次の時にも話しやすくなりますね。
以前話していた内容を出すと、会話をしっかり聞いてくれているという安心感にも繋がると思います。

相手がどんな人かわからないと、誰だって身構えてしまい素直に話せませんよね。
自分のことをオープンにして話してくれる人には、心を開きやすくはないですか?

こうやって会話を重ねていくことで、患者さんとの関係性も深まってくると思います♪

患者さんの感情を大切にする

患者さんが感情を話してくださった時には、
その感情は決して否定せずに共感するようにしています。

「うん、うん」と相づちで聞くのも良いですし、
「それは辛かったですね「とても悲しかったんですね」
とその気持を繰り返したり、違う言葉に置き換えたりすると、
より話を聞いているということが伝わるかもしれませんね。

気持ちを表現することが苦手な方もたくさんいらっしゃいます。

例えば、「何となくイライラした」という風に言う人がいたとします。
その時には順を追ってしっかりと話を聞いて、
「〇〇に対して□□だったから△△と感じたんですね」とまとめてあげると、
自分で自分の感情に気づける機会になると思います。

逆に、「こんなことがあった」と事実だけを言ってくる人や、
言葉ではなく、暴れたり自傷行為など行動で示す人もいます。
「それでどう感じたんですか?」「どうしてこのような行動をしたんですか?」
と問うことで、自分の感情を振り返ることもできますね。

「何となく」のままスルーしてしまうと、今後に活かせずに、
同じことの繰り返しになってしまいます。
何に対してどうしてそう思ったのか、まずそれを自分で気づけるようになることが
第一歩たと思うのです。

ちゃんと伝えてくれた時には、
「自分の感情を伝えられましたね」と評価したり、
「伝えてくれてありがとう」
「言ってくれたから理解ができて嬉しかった」
などこちらの気持ちを伝えると、より次に繋がっていくと思います☆

患者さんにも、自分自身の感情を大切にしてもらいたいと思っています。
それができるようにお手伝いをすることも、
精神科の看護師の大切なお仕事ですね(^^)

患者さんの気持ちがわからなければ、「こう感じたということですか?」
と正直に聞いてみることも良いと思います。

患者さんの考え方が自分と違う時には、
「〇〇さんはそう思ったんですね。私だったらこう思います」
「反対の立場だったらどのように感じますか」
などと、単に否定するのではなく、視点を変えてみるのも良いかもしれません。

無理に患者さんと同じ意見のように振る舞う必要はないと思います。
色んな考え方があって当然ですし、お互いに考えを尊重できる関係が理想ですよね♪

このようなやり取りの中から、感情の伝え方や汲み取り方を学べると思います。
患者さんとのコミュニケーションの中で、
自分自身も気づきや学べることはたくさんあるんですよ(^^)

患者さんとの約束は必ず守る

精神科では、患者さんとの信頼関係はとても大切です。

せっかく信頼関係を築けても、故意ではなかったとしても
約束を破ってしまうと一気に信頼関係は崩れてしまいます。
約束したのであれば、責任をもって必ず果たすようにしましょう。

しかし、看護師も人間ですからうっかり忘れてしまうこともありますし、
バタバタしていると時間通りにできないこともあるかもしれません。

そのような時には言い訳はせずに、誠実に謝罪をしましょう。
自分の非を素直に認めることも大切です。
できなかった理由と、患者さんに迷惑や嫌な思いをさせてしまったこと、
そしてそのことを申し訳なく思っていることを丁寧に説明すれば、
患者さんもきっとわかってくれますよ(^^)

守れない可能性があるのであれば、前もってそのことを説明して、
むやみに約束をしない方が良いと思います。
確実に自分が果たせることだけを約束しましょう。

小さなことでも、その積み重ねが信頼に関わってきますからね(^^)

患者さんのできているところを評価する

例えば、うつ病の患者さんなんかは、自己評価がとても低い方がおられます。
でも、自己評価が低いだけで、周りからみるとしっかりとできていることもたくさんあります。

そのため、小さなことであってもできていることはどんどん評価して気づかせてあげましょう。
入院当初はできなかったけど、徐々にできるようになっていくこともたくさん出てきます。
しかし、患者さんは自分でそのことに気づけていないことが多いのです。

「〇〇ができるようになりましたね」と伝えてあげることで、
患者さん自身もそれに気づくことができます。
自覚できた方が、治療にも前向きになれるし、
何より嬉しくて自信に繋がりますよね(^^)

できているところを伝えても、「まだしんどいし全然…」
と悲観的に返ってくることも多いでしょう。

それでも、「前はしんどくて寝ていることが多かったけど、今は朝から起きることができていますね」
などと具体的に事実を伝えてあげると良いと思います。

小さなことで良いんですよ。
できることが増えていくってすごいですよね(^^)

患者さんに振り回されない

患者さんの中には、我儘を言ったりわざと看護師を困らせるような行動を取る方も一部ですがおられます。

そのような患者さんと関わる時には、絶対に患者さんの都合に振り回されないように注意しています。

患者さんの言うこと全てに対応していては、時間がいくらあっても足りないし、
要求がどんどんエスカレートしてしまう可能性もあります。

「言えば何でもやってくれる」と思われてしまわないように、看護師として毅然とした態度で振る舞いましょう。

できないことはできない、ダメなものはダメ、はっきりと言うことが大切です。
もちろん、やみくもに断るのではなく、
何故できないのかを患者さんが納得のできるように説明をする必要はあります。

前は良かったけど今回はダメ、あの看護師は良いと言うけどこの看護師はダメと言う、
などのようにバラツキがあると、またこじれてしまうこともあります。
スタッフ同士で対応を決めておき、患者さんにもそれを伝えておくと良いでしょう。

また、そのような患者さんの言動の裏にはどのような心理が隠れているかも考えられると良いですね。

私が普段患者さんとの関わりで意識している点をいくつか挙げました。
別に特別なことではないと思いませんか?
普段の対人関係でしていることとそんなに変わらないと思います。

精神科の患者さんだから、と特別視する必要はありません。
一人の人として、丁寧に接することが一番大切です(^^)

細かく挙げると、
「笑顔で話す」「目線を合わせること」「間を大切にする」など色々あると思いますが、
それらは上記のことを気をつけていれば、自然とついてくることかなぁと思っています☆

患者さんには色んな人がいますので、一概にこうと決めつけることはできませんが、
患者さんやその場に応じて色んな対応ができるようになれれば良いですね。
私もまだまだ勉強中です(^^)

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【精神科の治療】電気けいれん療法を受ける患者さんへの看護

電気けいれん療法とは、頭に電極を貼り付けて通電をして、
人為的にけいれん発作を誘発される治療法です。
詳しくは、こちらに記載していますので参考にしてください。

電気けいれん療法の施術を行うのは医師ですが、
看護師は何をしたら良いのでしょう?
私の経験からお話しますね(^^)

オリエンテーション ~トイレの水は飲まないで~

患者さんに治療の流れや注意すること、治療後の様子などを説明します。

電気けいれん療法を受ける患者さんは、重症の方が多いので、理解力や判断力が乏しいことも多いです。
また、治療に同意していない人(家族が同意している)や、病識自体がない人もおられます。

そんな患者さんに、治療の説明や術前の注意事項を理解してもらうことはなかなか難しいことなんですが、
患者さんに必ず守っていただかないといけないことがあります。

前日夜からの絶飲食です。
嘔吐による窒息や誤嚥性肺炎の予防のために行うのですが、もし飲食してしまったら治療自体が行えなくなってしまいます。

理解力が乏しい患者さんは、コップを預かったり、部屋の水道を止めたりして対応します。
外に出て水を飲もうとする患者さんには個室にうつってもらい、その時だけ隔離が必要になることもあります。

隔離していても、絶対大丈夫とは言えません。トイレの水を飲んでしまう患者さんもおられます。
場合に応じて、トイレも施錠して、一時的にポータブルトイレを設置するなどの対応も考えないといけませんね。

普段しっかりされていて大丈夫と思える患者さんでも、
電気けいれん療法の治療中は、副作用で健忘(一時的な記憶喪失)やせん妄(一時的な意識障害)になることも少なくありません。
そのため、自分はなぜ治療をしているのか自体忘れてしまう人もいますし、
注意事項なんて全く「何のこと?」状態です。

中には、治療を受けたくないからわざと飲水をしてしまう人もおられるので要注意です。

このように、治療の説明をすることと合わせて、患者さんそれぞれに応じた
対策を考えながら準備を勧めていくことが看護師には必要になってきます。

前日の準備 ~体を清潔に~

電気けいれん療法では、頭部に電極を貼り付けて通電を行います。
そのため、頭が皮脂で汚れていると、電極がしっかりと貼り付かないことがあります。

そうならないためにも、前日に必ず洗髪を行います。
入浴や清拭で全身を清潔にするのが一番望ましいのですが、
拒否が強い人などは難しいこともあるので、最低でも洗髪だけは行っておきたいところですね。

また、排便の確認を行って、なければ浣腸を行ったり、
男性であれば髭を剃り、女性では化粧やマニキュアは落としてもらいます。

基本的な手術の準備と一緒ですね。
手術に関する同意書や書類なんかも準備をしておきます。

夜勤では、絶飲食の指示を守れるように、再三の説明と確認を行って翌日の治療へ備えます。

当日の準備 ~連携プレーが鍵~

日にもよりますが、当日治療を受ける患者さんは多い時には10人ほどおられます。
そして治療は一人20分ほどなので、病棟と治療室の行ったり来たりでバタバタと結構忙しいことも多いです。

もちろん分担はしますが、スタッフ同士の連携が上手くできていないとスムーズに進まないこともあるので、
スタッフ同士の意思疎通と協力が大切になってきます。
滞りなく治療がすすめられるように調整することも、看護師の大切な役割ですね。

当日の朝には、術衣に着替えてもらい、点滴の確保をしておきます。
寝たきりなどで当日に着替える余裕のない人は、前日に着替えておいた方が良いですね。

そして術前に必ずバイタルの確認をして、もし異常があればすぐに医師に報告するようにしましょう。
異常がないことを確認し、順に患者さんを準備室へと誘導します。

準備室では、頭部に電極を貼り付けたり、モニターの準備などをして順番を待ちます。
不安や拒否の強い人もおられますので、安心してもらえるような声掛けができたら良いですね。

この時に、治療が終わったあと帰室できるように、術後ベッドの準備をしておきます。
酸素や吸引器の準備やベッド周囲の整頓、ベッド位置の調整などしておくと良いですね。

治療室の中で行うこと ~私、OPEナースだったっけ?~

順番がきたら、治療室へと進みます。

治療室に入ると、酸素を投与して全身麻酔をかけ、治療が始まります。
医師がそれらの処置をしている間、看護師は記録を行います。

何の薬剤をどれだけ使用したか、電圧は何Vで何秒けいれん発作が起こったのか、など随時記録していました。

また、使用する薬剤を準備したり、必要な物品を渡すなど、簡単な介助も行います。
特に清潔操作は必要ないですよ。
なんちゃってOPEナースの気分を味わえて結構楽しかったりします♪笑

治療直後の観察 ~暴れる人には要注意~

治療が終わり、自発呼吸が再開すると治療室を出ます。
自室に戻る前に、処置室でモニターを装着し、バイタルや呼吸状態の確認などを行っていました。

治療後は、人によっては錯乱状態となって、朦朧としながら起き上がったり暴れようとする患者さんもおられます。

そのため、必要に応じて鎮静剤を使用することもあります。
鎮静剤を使用すると、呼吸抑制がみられることもあるので、より呼吸状態には注意しなければいけませんね。

しばらく様子を見て問題なければ、自室へ戻ります。
帰室後もしばらくは意識は戻っていませんので、
酸素を投与して手術後と同じようにバイタルのチェックを行います。

意識が朦朧として動いてしまう人も多いので、頻繁に観察を行うと安心ですね

1時間もすれば、大抵の人は意識がしっかり戻ってきますので、
問題なければモニターをはずして、点滴も抜去します。
飲水確認を行い、ムセがなければ飲食も再開してもらいますし、自由に動いてもらって大丈夫です。

これで1回の治療が終わります。
これを週に2~3回、計5~15回ほど繰り返して治療を進めていくことになります。

5回程行ったくらいから、治療の効果を感じ始める人もおられます。
自覚は全くなかったとしても、他覚的に見ると確実に良くなっていることもあるので、
良くなっている点は積極的に患者さんに伝えてあげるようにしましょう。
人から言われることで自覚が出て来る場合もありますから(^^)

副作用とその対応 ~一過性のものだから安心して~

・頭痛、筋肉痛
治療直後から頭痛や筋肉痛を訴える人は多いですが、ほとんどは当日から翌日には消失します。
鎮痛剤で対応できるので、訴えがあれば勧めてあげましょう。

・嘔気、嘔吐
これも短期的な副作用です。
ベッド周囲に必ずガーグルベイスンと吸引器を用意しておきましょう。
制吐剤も使用できますので、医師に指示を確認しましょう。

・健忘
一時的に記憶を喪失することがあります。
記憶をなくすことに恐怖感を感じる人もおられますが、一過性のもので
数日から数週間で回復しますので、そのことを説明して安心感を与えてあげましょう。
不安が強い人には、日記をつけることを促したり、
忘れたくないことは紙に書いて目のつくところに置いておくなどの工夫も良いですね。

・せん妄
一時的な意識障害で頭が混乱した状態になることです。高齢者の方に多くみられます。

幻覚が見えたり、興奮して大声を出したり、物事を正常に判断できない状態になります。
わかりやすく言うと、認知症のような症状が現れますが、
認知症と違う点は、症状は可逆的で元の状態に戻るということです。

本人の行動や発言は端から見ると意味不明なことばかりです。
しかし、それを否定してしまうとより不安感が強まってしまうので、否定せずに、
安心感を与えられるような対応ができたら良いですね。

また、せん妄状態になると、周りへの注意が欠如し、正常な判断もできないため、
転倒したり怪我をするリスクが高くなります。
そのため、危険な物を部屋に置かないように環境調整を行いましょう。
知らないうちに体がアザだらけ、なんてこともあります^^;
夜だけせん妄になることもあるので、特に夜には注意した方が良いですね。

点滴をしている場合には、自己抜去を防ぐ必要があります。
ルートが視界に入らないような工夫や、時間帯を考慮することも一つの方法ですね。

セルフケアが自分で行えなくなることもあるので、必要に応じて介助や見守りを行います。
飲水や食事が摂れているかの確認や、体調の管理にも目を配ってくださいね。

早くせん妄状態を解除するためには、1日のリズムをつけることが大切です。
昼間はカーテンを開けて光を取り込み、活動を促してしっかり覚醒してもらいましょう。
そして、夜は暗くして静かに眠れるような環境を提供します。

慣れない環境がストレスになる場合もあります。
家族の方にできるだけ面会に来て話しかけてもらったり、
家族の写真や本人が慣れ親しんだ物(安全な物で)を持ってきてもらうようお願いすることもあります。

症状が強くてどうしても目が離せないような状況であれば、
一時的に離床センサーを使ったり拘束をする場合もあります。
事前にそのことを本人や家族に説明して、同意を得ておくことも必要ですね。

せん妄の症状の現れ方は人それぞれですが、必ず症状は治まります。
そのことをしっかりと説明して、本人にも家族にも安心感を与えてあげてください(^^)

・躁転
双極性障害(躁うつ病)のうつ状態の時に治療を行うと、稀に躁状態に転じてしまうことがあります。
治療は、状況に応じてそのまま継続したり一旦中止になることもあります。
治療をどうするかは医師が判断しますが、看護師は躁転していないかの観察をしておく必要がありますね。

 

以上、電気けいれん療法を行う患者さんへの看護をまとめてみました。

精神科のイメージと少し違ったかもしれませんが、電気けいれん療法は治療効果が高いので、
日に日に良くなっていく姿が見られるのが楽しみでもあります。

ちょっとした手術のような感覚を味わえるので、精神科に興味はあるけどゆったりしすぎるのは苦手という方に
良いかもしれませんね。

手術と言っても外科ほどの身体侵襲はありませんし、
看護も精神面へのアプローチが多いので、外科とはまた違った看護を楽しめると思います♪

電気けいれん療法はどこの病院でも行っているわけではないので、
興味がある場合は看護師転職サイトに登録して、病院の情報を聞いてみてくださいね☆

電気けいれん療法【精神科の治療 ~頭から電気を流す~】

電気けいれん療法とは

電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)とは、頭に電極を貼り付けてそこから通電をして、
人為的にけいれん発作を誘発させる治療法です。

言葉自体、初めて聞いたという人もいるかもしれませんね。

昔は、そのままけいれん発作を誘発させていたため、患者さんに非常に恐怖感と苦痛を与え、リスクも高い治療でした。
懲罰的な意味で行われていたこともあったようです。

「カッコーの巣の上で」という映画の中でもこの治療法が出てきています。
現代の精神科の治療とはかけ離れているので誤解はしてほしくないのですが、
もし興味があれば観てみてください(^^)

現在では、麻酔科医と精神科医の立ち会いのもとで、全身麻酔下で筋弛緩剤を併用して無けいれんで行われるようになっています。
そのため、最近では「修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy:m-ECT)」と呼ばれ、
非常に安全性の高いものになっています。

精神科というと、内服治療やリハビリでゆっくりと治療を行っていく印象が強いと思いますが、
意外にも全身麻酔下で行う治療法もあるんです。

電気けいれん療法の適応

電気けいれん療法が行われる疾患としては、以下の3つです。
・うつ病
・双極性障害(躁うつ病)
・統合失調症

とは言っても、これらの疾患であれば必ずしも電気けいれん療法を行うわけではありません。
適応と考えられる状態は主に3つが考えられます。

1,症状が深刻で、迅速な改善が必要な場合
・希死念慮が切迫しており、自殺の可能性が高い
・拒食による低栄養など、生命の危険が予測される
・昏迷状態

2,他の治療法を行う危険性が高い場合
・薬物療法の副作用が強いため、充分に服用できない
・高齢者や妊婦など、薬物療法が制限される

3,薬物療法の効果が不十分な場合
・薬物治療でなかなか寛解に至らない

これらの場合が挙げられます。
薬物療法と比べると、身体的な副作用が少ないことと、治療効果が早く現れることから、
高齢者や妊婦には第一選択として考えられるようです。

逆に、禁忌の例としては、
・頭蓋内圧亢進
・心筋梗塞や脳出血の急性期
・動脈瘤や脳腫瘍がある場合

などがあるため、治療を行う前には血液検査や心電図、CTなど、
全身状態の検査を必ず行い、治療を受けても問題ないことを確認してから行われます。

治療の流れ

流れを簡単にまとめてみます。

① 患者さん、家族へ説明を行い、同意を得る
② 事前の検査、全身状態のチェック
③ 治療の前日は夜から絶飲食
マニキュアなどされている方は落としてもらいます
④ 当日の朝に術衣に着替えてもらい、点滴をして血管の確保
⑤ 頭部に電極を張り、スタンバイ(不安が強い人や、ECTの効果を上げるためにこの時に麻酔薬を静注することも)
⑥ 治療室に入り、心電図モニターや血圧計、パルスオキシメーターなどを装着
⑦ 酸素を投与し、呼吸を補助しながら麻酔薬と筋弛緩薬を投与
⑧ 筋弛緩薬が効いたことを確認(上半身から下肢へと順にれん縮していくので、足の指がピクピク~としたらサイン)
⑨ 筋肉が完全に弛緩したところで、電気を通電(舌を噛まないようにバイトブロックを装着しておく)
⑩ (筋弛緩薬を投与しているので実際にけいれんは起こりませんが)脳波の変化でけいれんと同じ作用が発生していることを確認
⑪ 通電後、一時的に血圧や心拍数が上昇することもあるので、必要時は降圧薬など使用することも
⑫ 自発呼吸が再開してバイタルが安定していることを確認し、治療は終了。自室へ戻る。(まだ意識は戻っていません)
⑬ 通常の全身麻酔後の観察と同じように、帰室後バイタル測定や肺音の確認など定期的にチェック
⑭ 1時間ほどして意識がはっきりして、バイタルが安定していれば酸素投与終了。モニターや点滴も外します。
飲水チェックを行い、問題がなければ飲水、食事摂取可能。通常通り動くことも可。

このような一連の流れを、週に2~3回程度の間隔で、5~15回程繰り返します。
回数は、症状に合わせて医師の判断で行われます。
大体5回目くらいから効果を感じられる人もおられます。

頭に通電する時間は5秒程度、その後にけいれんが20~30秒程度です。
自発呼吸が再開するまでしばらく状態を観察してから終了となるので、
治療室に入って全身麻酔を始めてから退室するまでで約10~20分程になります。

電気けいれん療法のメリットとデメリット

電気けいれん療法の特徴として、
・即効性がある
・治療効果が高い
という非常に魅力的なメリットがあります。

その反対に副作用もみられます。

主な副作用は、身体面でのものと精神面でのものに分けられます。
・身体面での副作用
頭痛、筋肉痛、嘔気・嘔吐、血圧上昇、頻脈など

・精神面での副作用
健忘(一時的な記憶喪失)、せん妄(一時的な意識障害)など

しかし、これらは全て一過性のもので、時間が経てば自然に戻るものばかりです。
頭痛や筋肉痛には鎮痛剤などで対処することもできます。

多少の副作用はあるものの、治療効果を考えると非常に良い治療法のように思えますね。

しかし、その効果が長期間持続しないというデメリットがあります。
そのため、電気けいれん療法だけで完全に良くなるわけではなく、
その良くなった状態を薬物治療で維持する形がほとんどだと思います。

電気けいれん療法は、薬物治療を行える段階にまで状態を持っていくため、
と考えてもらっても良いと思います。

副作用が強く出るために薬を飲めない人は、定期的に電気けいれん療法を行うことで状態を維持する人もいます。

また、人によっては、全身麻酔や通電するということに恐怖感や抵抗を感じる人もおられ、
本人や家族が拒否される場合もありますので、治療についての説明をしっかりと行うことも大切ですね(^^)

電気けいれん療法を受ける患者さんへの看護については、こちらを参考にしてください。

 

電気けいれん療法について簡単にまとめてみました。いかがですか?
ちょっと精神科とイメージが違うと思った人もいるかもしれませんね。

でも、精神科治療において大切な治療の一つですし、
治療効果が目に見えてわかりやすいので、看護師としては嬉しいことだと思います。

電気けいれん療法は、全ての精神科病院で行っているわけではないので、
気になる方は事前に調べてみてくださいね。

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